三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年12月5日

『ISE AKENO STYLE(いせ・あけのすたいる)』は、県立明野高校と、伊勢小俣町商工会を通じた地元事業者の皆さんが連携する取り組み。
高校生たちが丹精込めて育てた農産物や畜産物を、地元の事業者が商品化。
高校生のアイデアと情熱、そして事業者の経験と戦略で人気商品を生み出しています!

こちらは伊勢市小俣町にある『県立明野高校』です。
ここは、生産科学科・食品科学科・生活教養科・福祉科の4科4クラス体制で専門知識・技能の習得を図る専門高等学校。

敷地内には広大な農園や豚舎、養鶏場があり、それらの生産物を販売する販売所も校内に設けられています。

 

そして今、こちらの学校では、さらにリアルに地域社会との繋がりを深める、そんな取り組みもしています。
それがこちら!
『ISE AKENO STYLE』の商品です!

 

「『ISE AKENO STYLE』は、明野高校の生徒が育てた農畜産物を地域の事業所さんによって商品化したものになります。
お米も生産科学科の生徒が、種まきから収穫までの作業を手掛けた『結びの神』。
豚肉も『伊勢あかりのぽーく』というブランド名がついていまして、生徒が日常管理から出荷までを手掛けています」

と、生産科学課の西恭平教諭。

 

そして、この商品に携わっているのが、生産科学科の生徒さんたちです!

 

「作物専攻生も畜産専攻生も頑張って育て農作物なので、商品になって皆さんの手元にいくのがとても嬉しいです!
商工会のプロの方々が丁寧に教えてくれて、よりよい農産物もできるのでとても嬉しいです!」

生産科学科作物部門の逢坂颯眞さん。

「私の一押しの商品は、『あかりのソーセージ』です。
お肉に『あかりのポーク』を使っていて、具材には地元のトマト農家のトマトとネギを使用しています。とっても美味しいです!

同じく生産科学科畜産部門の木内昭吾さん。

 

『ISE AKENO STYLE(いせあけのすたいる)』は県立明野高校と、伊勢小俣町商工会を通じた地元事業者の皆さんが連携する取り組み。
高校生たちが丹精込めて育てた農産物や畜産物を、地元の事業者が商品化。
高校生のアイデアと情熱、そして事業者の経験と戦略で人気商品を生み出しています。

 

取り組みのきっかけを、伊勢小俣町商工会の松井征佐美事務局長にお聞きしました。

「明野高校では、生産科学科の生徒が授業の過程で畜産や耕作を行っています。
丹精を込めて沢山のものを作っているので、それらの物を地域の方々に知ってほしいとの思いから、事業所の方々がその明野高校で出来たものを使って新商品を作って、地域の方々に広めていこうよということになりました。
商品開発をすることで、学生さんからいろんなアイデアをいただきます。
商売だと、どうしても『売ろう』が主になりますが、高校生と作ると『良いものを作って喜んでもらえるものを作ろう』となるので本当に、良い物ができるようになりました」

明野高校の東浦宏幸校長に、取り組みに期待することをお聞きしました。

「生産物を作るというだけではなくて、その作ったものが消費者の方に届いて、喜んでいただける。
それがどんどんどんどんと広がっていくということは、農業をする生徒たちにも励みにもなりますし、地元・小俣町の皆さんをはじめ、伊勢市や、出来れば県内のみなさんに知れ渡って、更にブランド化が進んで地域のひとつの名産品となっていく…そんなふうに高まっていってくれればなと思っています」

さて、今回は、『ISE AKENO STYLE』の中から、純米吟醸酒『AKENO SAKUMOTSU (あけのさくもつ)』の誕生までをご紹介したいと思います。

 

生徒がコンバインに乗って、稲を収穫しています。

「うちの学校ではうるち米ともち米と作っています。
8月の中旬頃から実習の中でコンバインに乗っていますので、大分上手に操作していると思います」

と、西教諭。

今、収穫しているお米は『酒米弓形穂(ゆみなりほ)』。
山田錦の元親ともいわれている伊勢錦の突然変異種を、三重大学生物資源学部が品種固定をして誕生した三重県の新しい酒米です。
粒が大きく、実ると穂先が弓のように下がることから『弓形穂』の名が付けられました。
生産科学科作物部門の生徒と、弓形穂を使った酒の醸造を手掛ける多気町の『河武醸造』、三重大学、地元の酒店が連携して昨年から酒造りに取り組んでいます。

 

明野高校では2018年に、安全性や環境に配慮した農作物に与えられる国際認証『グローバルGAP』を米の分野で取得しています。

 

生徒たちの収穫の様子を、先生と一緒に見ていたのは、伊勢小俣町商工会の副会長で、酒屋を営む杉浦さん。

「去年初めて酒米を作り始めて、今年初めて『AKENO SAKUMOTSU』という名前で発売させてもらいました。
去年の生徒たち、また今年の生徒たち、緊急事態宣言とかコロナの中で、リモートで稲刈りをしたり田植えをしたり…刈り取るのを見ていると感慨無量です」

昨年、商工会副会長で酒店を営む杉浦さんが呼びかけ、産学官連携の酒造りプロジェクトが始動。今年1月に初めての商品が完成
初年度に引き続き2年目の今年も新型コロナウイルスの影響で、生徒たちはリモートで作業に参加する形になった時期もありました。

 

「大粒で、心白というものがしっかり真ん中にあり、雨が適度に降ったお陰で高温障害も少なくて自分たちが育てたものがしっかり実るというのはすごく嬉しくなります」

鈴木ひよりさん。

「リモート授業とかがあり、実習に来られないこともありましたが、しっかり育っていたので安心しました」

と、辻原愛菜さん。

「心を込めて一生懸命作ってきたので、とても嬉しかったです。
弓形穂は背が高く刃の位置を高くして刈らないといけないので、気を付けました」

と、前田心海さん。

「ワクワクしながら収穫しています。
苦労して作った分、お酒になるのが楽しみです」

と、逢阪颯眞さん。

 

杉浦副会長の酒店『みよしや酒店』にて、『AKENO SAKUMOTSU』と対面。
ラベルがとても格好良いです!
田植えから稲刈り、仕込み、上槽、搾り等の作業に加え、ネーミングやデザインも生徒たちが担当しました。

「当然、お米は明野高校で作った弓形穂で、酵母も三重県産のはなやか酵母を使って醸したお酒になります。
お肉にもお魚にも、オールマイティに合うお酒だと思います」

と、杉浦さん。
口当たりの良い、フルーティな飲み心地が特徴です。

 

11月上旬。
収穫した酒米は搗精工場で精米した後、河武醸造に持ち込まれ、仕込み作業がスタート。

 

この日の作業は、仕込み作業の最終段階。
手伝いにやってきた生徒たちと共に、蒸し上がった酒米を最適な温度まで冷ますため、素早く広げます。

 

「今年の米自体が一等という素晴らしい米で、非常に良い米だと、来た段階で杜氏と2人で唸りました。
今日は掛け米と言いまして、どんどんどんどんお酒の量を増やしていく作業…これをみなさんに手伝っていただきました。
蒸しあがりの艶やかさとモチもち感…それも見てもらうこともできたし、一緒に触れたことをありがたいと思ってます。
自分たちが酒屋さんやみなさんと一緒にいい米を作り、良い酒を造っていくんだと。
更に生徒さんたちに参加してもらえたら、私たちもこの『弓形穂』での酒づくり安心して前にも進められますし、良いお酒にしていくことができると思っています」

と、『河武醸造』の河合英彦さん。

さらに、今回参加した生徒さんに、感想を聞きました。

 

「乾かしたお米を2階に送ってくる、それを受けるっていう役割をやりました。
高校生がお酒造りに参加するということは、本当に貴重な体験なので、できて嬉しいです」

岩佐一希さん。

「老若男女、みんなに人気になる酒になって欲しいです。
美味しくなって下さいという思いを込めて作業をしました」

生川瑛翔さん。

この日仕込んだお酒の完成は来年1月。
生徒たちのつくった酒米はどんなお酒に生まれ変わるのでしょうか。

「今年は一等っていうことでいい位の等級もいただきましたし、伊勢地域になくてはならないお酒っていう形に広めていきたいなと考えています。
やはり、この取り組みをするようになってから、生徒の目がとても生き生きとしています。
関わって頂ける事業者さんの数をもっと増やしていって、ひとつのチームとして小俣町を盛り上げていけるようにしていきたいと思います」

と、西教諭。

「子どもたちと話しをするのも楽しいですし、また若返りますし…。
まぁ、教育と事業、なかなか難しい部分もありますが、それぞれの業種の方がそれぞれ明野高校と繋がりながら、地域の活性化を、もっとざっくばらんに考えられるような地域になればいいなと思っています」

と、杉浦さん。

次回も引き続き、明野高校と伊勢小俣町商工会の取り組みをご紹介!
『伊勢あかりのぽーく!』
畜産部門の挑戦です!